ミイラとカノプス壺
紀元前16世紀にパピルスの巻物に書かれた葬祭文として、「死者の書」というものがあります。
この「死者の書」からは、永遠の命を信じる古代エジプト人の死生観をうかがうことが出来ます。
死後の世界を信仰する古代エジプトにとって、墳墓は永遠の家として絶対的に重要なものでありました。
そして、肉体もまたいつか、霊魂が戻ってくる日のために永遠に保っておくべきものでした。
そのために作られたのが、ミイラです。ミイラとして肉体を保存しておこうと考えたのです。
ミイラは長い日数と、さまざまな保存工程を経て作成されます。
そのための製作費用もかなり掛けられたようです。
ミイラとして葬られたのは人間だけではありません。犬や猫、ワニや牛、ヒヒ、そして鳥ではトキなどもミイラにされました。
これらの動物のミリラは、人間のミイラと共に葬られたのです。
ミイラの製作は、ローマ帝国時代になっても続きました。
この時代になると、顔には仮面ではなく、肖像画がのせられるといったような変化を遂げながらもミイラ製作は継続されていました。
また、ミイラ製作にあたって取り出した内臓も、壺に入れられ、保管されました。その壺は、カノプス壺と呼ばれ、石製や陶器製のものだったようです。
カノプス壺は4つひと組で用いられ、4つの壺には、肝臓、肺、胃、腸が収められたと言われています。
このことからも分かる通り、古代エジプト人にとって肉体の保存は最重要課題だったのです。
これら4つの内臓は遺体の近くに配置して保存されました。
カノプス壺は、それ自体、工芸的な価値の高いものです。
壺にはそれぞれ蓋が乗せられており、その蓋は古代エジプトの神のひとりであるホルス神の4人の息子の頭部が模されているのです。
4人の息子も神として崇められており、それぞれの壺は、以下のように4人の神によって守られていました。
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肝臓の壺
人間の頭部を持ち、イシス女神と共に肝臓を守る役割を持つとされた、イムセティ。 -
肺の壺
ヒヒの頭部を持ち、ネフティス女神と共にを肺を守る役割を持つとされた、ハピ。 -
胃の壺
ジャッカルの頭部を持ち、ネイト女神と共にを胃を守る役割を持つとされた、ドゥアムテフ。 -
腸の壺
ハヤブサ(タカ)の頭部を持ち、セルケト女神と共にを腸を守る役割を持つとされた、ケベフセヌフ。 -
この4人の神が各内臓の守護神となっていました。
カノプス壺は、エジプト考古学博物館でみることができます。